Friday 8 July 2011

冬のオーストラリア5

1 散歩

朝早く起きて、近所を散歩。

透き通るような青い空。
思い思いの方向に伸びるユーカリの木に
白いオウムが止っています。

変わった鳥や動物がたくさん。
日本の朝は、小鳥の「チチチ」という声で心地よく目覚めますが
こちらは「ギャーギャー」とまるで猿の戦いよう。

小川を辿って公園の中を歩き、
やがて住宅地へ入りました。

住宅地といっても
広い敷地の中にたっぷりの庭と木を残して
その中央に家があるので、
森を歩いているような感覚です。
古い家もきちんと残っています。
地価高騰で不動産に投資する人が多いので、
少しでも高値で売るために丁寧に管理します。
古い家はそれはそれで価値があるのです。

多くの人が家に興味があり、
「あれは50年代の家だ」などと
すぐに言い当てることができます。
インテリアや庭作りへの情熱も
ただならぬものがあり、
テレビや雑誌でも家関係の話題が多い。

2 Berrima

朝食の後、車で数十分ほどのところにある
可愛らしい町に連れて行ってくれました。
Berrimaは歴史ある町ですが、最近では
シドニーあたりから退職者が移住してくることも多いので
都会の人の避暑地のような存在でもあります。


1838年に建てられた裁判所(今は資料館)の周辺には
石やレンガ造りの建物が立ち並び、
開拓当初の面影を残します。

ちょっとしたショッピング小道には
レンガ造りの長屋に、これまた可愛らしい
雑貨屋さん、香水屋さん、お茶屋さん、
革製品屋さんなどが入っています。

どこも地元産のハンドメイドのものが売り。

小さな町ながら、それぞれに個性があり
センスが光ります。


私はアロマオイルと石けんを探していたので、
香水屋さんに入りました。

クリームやオイル、香水などが
たくさん置いてあります。
奥にフランス系っぽい店のおじさんがいて、
陽気に話しかけてきます。
奥さんが香水調合師で、ここの製品はすべて
オーストラリア産の植物で作ったのだとか。

たくさんの種類の石けんがあって
迷ってしまいます。

おじさんはバカ正直に
「向こうの店にはヤギミルクの石けんが
ここより安く手に入るよ」と
暴露していましたが…

高級感あるアロマ石けんに惹かれて
いくつか購入しました。
特に好きな香りはfrangiapaniとlemon myrtleです。

そして当然、すぐ近くの店で
ヤギミルクの石けんを手に入れました。
評判のヤギミルク石けんは
床から目線の高さのところまで積み上げられていて、
カットしたものもあれば大きいブロックのままのものも!

ヤギミルクタワーを写真に収めておくんだった…


お茶屋さんにはお茶はもちろん
ジャムやソースもずらり。

ハーブや花を調合したお茶も楽しいけれど、
オーストラリアならではのお茶は
素朴なbilly teaやbush tea。

horse raddishというわさびに似た薬味野菜は
私の大好物なので、
ペーストの瓶詰めを買いました。


さて、ショッピングを楽しんだ後は
向かい側にある資料館に寄りました。
1800年代に建てられた、監獄と裁判所です。

いかにもイギリス風の石造りの建物。
監獄と言われたら恐ろしい気もしますが、
普通に見たら古い城のようでもあります。

年代物の家の話になると、みんな
「日本の歴史とは比べ物にならないけど」なんて言いますが、
実際日本で1700〜1800年代築の建物なんて
あまり見かけないような気がします。
木造の上、度重なる戦争や災害がありましたから…


次は、アンティーク屋さんです。
ガレージのような広い店内には、
ありとあらゆる分野のアンティークが揃っています。
欲しいものがたくさんあって…
散歩中に立ち寄った地元の人が
夢中になって店内を物色しています。
何度訪れても毎回何かしら目新しいものを発見する、
宝探しの迷路のような場所です。

食卓に上るフランス製の大皿も、日本製のカップも、
祖先から受け継いだものの他に、
こういう場所から一つずつ集められるんですね。

3 お茶会

家に帰ると、義母はお茶の支度にとりかかりました。
義祖母、叔母たちが集まるお茶会用です。

皆には昨日も会ったばかりですが、
私たちは明日ここを発つことになるので、
できるだけ多くの時間を
家族と過ごさなければなりません。
近所のケーキ屋さんや
パン屋さんで買ったお茶菓子を並べます。


ここで、暖炉に初めの火を焚くために
外で小枝を拾ってくるという仕事を任されました。

「よしっ!」
外はとっても寒いのですが、
私は意気揚々と小枝拾いに出掛けます!
暖炉に焼べる小枝を森で拾う……
なんともロマンチックではありませんか。
まるでグリム童話の主人公のよう。

が、ものの5分もしないうちに「もういいよ」と言われ…
夢は一瞬にして終わってしまいました。
10本ほどの小枝を手に、
やりきれない気持ちで家に戻りました。
無安打に終わりグラウンドを去るバッターのような心境です。


テーブルは奇麗に飾り付けられ、
義祖母や叔母さんたちが集まり、
おしゃべりが始まりました。
色々な話題が飛び交う中、
途中で加わった隣人が、なにやら
近所でニワトリが迷子になったという情報を持ってきました。

2軒先の家だというので、野次馬の私と夫、義父は
行ってみることにしました。
ふむふむ。なるほど、ニワトリ探しています!

ところが、隣人の旦那さんは
そのニワトリを見つけるや否や、
自分の管理している農場に持って行ってしまいましたとさ!

いやはや、平和ですなあ…

4 夕食

皆が帰り、お茶とおしゃべりでお腹もいっぱいですが、
両親がトルコ料理レストランを予約してくれました。


トルコ料理レストランは
テイクアウトもできるカジュアルな場所。
両親一押しのお店なんだとか。

おしゃべりなトルコ人のコックさんは
皆の前で珍しい料理を作って見せてくれたり
説明してくれて、楽しかった。

テーブル一杯のトルコ料理!
さすが世界三大料理の一つ、どれも奥が深い。

食文化の深さは日常食で分かる気がします。
何気なくシンプルな食材でささっと仕上げた料理が
想像以上に美味しいときは、ただ者ではない。

コックのおじさんとの会話も楽しみながら、
お腹いっぱいトルコ料理を楽しみました。


帰り道、寒い夜空には満天の星。
南半球は北半球に比べ、大気汚染が格段に少ないので
星がたくさん見えます。
ミルキーウェイをずっと眺めていたかったのですが、
寒さに絶えきれず、家に入りました。

暖炉を囲んで家族団らん。


明日はシドニーに行きます。